立憲民主・社民 小熊ひと美です。
議員提出議案第8号、「国内全ての原発の 廃止を求める意見書」の採択に、賛成の立場から討論を行います。
1月1日に、マグニチュード7.6という大きな地震に襲われた能登半島、その能登半島の中ほどに立つ、北陸電力志賀原発では、外部電源の一部が喪失し、使用済み核燃料の冷却が綱渡りとなり、あわやという事態だったことが判明しました。
震源の断層は150キロにもわたり、志賀原発の敷地からたった9キロの地点では、地盤が4メートルも隆起しました。
地球を覆うプレートが集中し、世界の地震の1割から2割が発生する日本では、いたるところに活断層が存在し、いつ、どこで地震が起きても不思議ではありません。
今回一番被害のひどかった珠洲市では、1970年代から、珠洲原発の建設計画があり、当時の珠洲市長を先頭に、住民の反対運動で2003年に建設が断念されました。もしこの珠洲原発が稼働していたら、福島第一原発と同じくらい、過酷な事故が起きていただろうことは、想像に難くありません。
特に、今回の地震で明らかになったのは、避難計画に実効性がないということです。
志賀原発の住民避難計画では、住民は、能登半島の先端へ避難する計画でした。内陸部の金沢市へのルートもありましたが、11路線中、7路線が通行不能となりました。
志賀原発の避難計画は現実的ではない、机上の空論だったと、石川県議会でも指摘が相次いでいます。
政府には原子力防災対策指針の見直しが迫られ、原発及び核燃サイクル施設のある立地県や自治体では原子力防災計画、住民避難計画の見直し、総点検が必要となりました。
能登半島と同じ半島地形で、同じく避難経路が限られる下北半島には、原発だけでなく、再処理工場やウラン濃縮工場など、よそにはない、もっとも危険な核施設が、軍事施設の間に集中し、さらに全国の原発で出た、放射性廃棄物のゴミ捨て場になっています。
その上、太平洋沖の海中には、長さ100キロに及ぶ大陸棚外縁断層など、複数の活断層が存在し、千島海溝地震・日本海溝地震の巨大地震も心配されます。石川県での議論はひとごとではありません。
この現状の中、青森市は東通原発や六ケ所再処理工場で重大事故が発生した場合、広域避難住民を受け入れることになっています。しかし避難計画の実効性が担保できない以上、青森市として、原発や再処理工場の廃止を求めるべきと考えます。
そもそも原発は、原料であるウラン鉱石を採掘する段階から、使用済み核燃料の処理に至るまで、被爆労働なしには成立しません。
原発の発電の仕組みは簡単で、原発はいわば大きなやかんです。ウランやプルトニウムの核反応の熱でお湯を沸かし、やかんの口から出た蒸気でタービンを回すという、蒸気機関そのものです。
ただ単にお湯を沸かすためだけに、危険で不経済、使用済みの核燃料の始末にも困る装置を、わざわざ使う必要があるのでしょうか。
危険な原発をやめて、再生可能エネルギーなどに、もっともっと力を注ぐべきではないでしょうか。
原発の問題点としては、
1つ 事故が起きると、被害が広範囲にわたり、安全な避難が難しい上に、経済的にも取り返しのつかない損害をもたらすこと
2つ 全国の原発で使用済み核燃料プールが満杯になりつつある中、放射性廃棄物の安全な処分方法、処分地がみつからないこと
3つ 原料のウラン採掘から始まり、すべての工程で被爆労働が前提となっていること
4つ 放射能物質を含む排水の放出により、生態系に影響を与えること
5つ 核燃サイクルはもんじゅの廃炉ですでに事実上破綻しており、15兆円以上もかけた再処理が進まないことで、原爆6000発分のプルトニウムを保有することになった日本の現状が、核拡散の観点から国際問題となっていること
6つ 発電効率が33%程度と低いうえに、安全対策に大きなコストがかかり、決して安価な電気とは言えないこと
7つ 温めた冷却水の放出により、周辺海域の温暖化をもたらすことや、発電時以外のすべての工程で大量のCO2が排出され、温暖化対策にならないこと
これらの点から、地震の多い日本で原発を動かすのは、危険である上に、経済的にも莫大な無駄であると考えます。
能登半島地震を受けて、原発の危険性を改めて認識し、国内の全ての原発を廃止することを訴えます。
本意見書の採択に、議員のみなさんのご賛同をいただきますよう、心よりお願いいたしまして、私の賛成討論といたします。ご清聴ありがとうございました。
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